先日、名古屋大学の野依記念学術交流館において、
アラスカ大学の赤祖父教授による、
「北極圏から見た地球温暖化」の講演を聞きました。
講演の主旨は、
近年地球の温暖化が進行していることは間違いないようだが、
その主原因がマスコミで喧伝されているようなCO2によるものとは必ずしも断定できず、
各種の気象観測データからはむしろ、
「小氷河期」からの回復過程という自然変動による影響の方が、
はるかに大きいことを示しているとのことだった。
そして地球の大きい自然サイクルのなかでは、
現在の気象状況が特に異常な状態というわけではなさそうだという見解だった。
この問題は世界の研究者間でさまざまな議論が現在進行中とのことなので、
期待をもってその成果を待ちたいところです。
ことの真偽はともかく、
現在の我国の政府を含めたマスコミの「地球温暖化=CO2削減」という、
ステレオタイプな報道キャンペーンは、
何か情報操作の匂いがしないでもなく、
ちょっと嫌な感じです。
ところで全世界的にみて、
近代化・工業化による地球環境汚染の進行は疑いようがなく、
また発展途上国を中心とする人工爆発が、
すさまじい速さで進行中であることも疑いようがありません。
このままいけば人類の未来が危ういことは間違いないところでしょう。
そこで、うがった見方をすれば、
「地球温暖化=CO2削減キャンペーン」も実は世界全体からみて、
今以上の工業化の進行の流れを阻止しようという思惑が見え隠れしています。
もっといえば工業化の果実は先進国だけの独占にして、
発展途上国の工業化による経済発展を遅らせ、
更に先進国も含めたその工業化の流れを全体として、
一握りの先進諸国主導のもとに適正な制御可能なものにしたい、
ということなのかもしれません。
この構図は現在の我が国において、
都市と地方の格差是正が重要な政治課題になっていることと、
ほとんど同じ問題をはらんでいるように思えます。
いわゆる「南北問題」です。
CO2が現在の地球温暖化の主原因かどうかはともかく、
CO2削減運動が、かの京都議定書どおりに全世界的に実践されたとすると、
その結果何が起こるかは容易に予測できることです。
後進国に向かって直接的に、
「人口をこれ以上増やすな」「工業化による近代化を止めろ」「経済発展を遅らせろ」
とはとてもいえない以上、
CO2を意図的に悪者にまつりあげているようにみえる
「地球温暖化=CO2削減キャンペーン」も、
あながち否定するわけにいかないような気がしてきました。
スケープゴートにされてしまったような「CO2さん」には、
まことに申し訳ないことです。